気分の記録のつけ方
最終更新:2026年8月
気分の記録は、ちょっとした習慣です。毎日同じ時間に、シンプルな尺度で今の気分を評価し、それに影響していることをメモするだけ。1回の記録からわかることはほとんどありませんが、価値は数週間後にやってきます。頭の中だけでは覚えていられなかったこと — 睡眠が短かった翌日は気分が沈みがちだとか、「ずっと低いまま」だと思っていた気分が週の半ばには持ち直しているとか — が記録から見えてくるのです。
ここでは、何を記録するか、どのくらいの頻度でつけるか、どんな要因をタグ付けするか、そして凝った記録より素朴な記録のほうが結局は役に立つ理由をご紹介します。数週間つづけたら、次は気分チャートの読み方へどうぞ。
1回の記録に書くこと
役に立つ記録には4つの要素がありますが、必須なのは最初の1つだけです。
- 評価。 5段階の尺度がちょうどいいバランスです:とても悪い、悪い、まあまあ、良い、とても良い。1日がどうあるべきだったかではなく、この数時間が実際にどう感じられたかを評価しましょう。
- 時刻。 朝7時の「3」と夜11時の「3」は、同じ「3」ではありません。
- 1〜2個の要因。 睡眠、仕事、運動、つらいやりとり。タグがあると、チャート上の線が「説明」に変わります。
- ひと言のメモ。 「よく眠れなかった、会議が長引いた」という一文が、6週間後にその日をよみがえらせてくれます。写真でもかまいません。
「こうだったらよかったのに」という1日を評価するのはやめましょう — 甘めに丸めた記録は、いずれあなた自身をミスリードします。気持ちに名前をつけるのが難しいときは、感情の輪が「なんとなく悪い」から、行動に移せる言葉へ導いてくれます。
1日1回? それとも1日に何度も?
多くの方には1日1回が合っています。夜に記録して、その日全体を評価しましょう。1日1点でも、週ごとのリズムや睡眠の影響を見つけるには十分です。難点は直近の出来事に引っぱられること — 夜9時のひと悶着が1日全体の評価を染めてしまうので、メモに書き添えておきましょう(「夕方までは順調だった」)。
1日2回にすると、夕方より朝のほうが重い日に気づけます。気分の波を追っているなら、変化そのものが情報なので、変わるたびに記録してみてください — ただし、絶えずチェックインしていると、不安から自分を監視するような状態に傾くことがあります。見張られているように感じたら、頻度を落としましょう。
まずは1日1回を2週間から。ほとんどの方は、それ以上必要になりません。
タグ付けする価値のある要因
タグがあると、記録が「説明してくれるもの」になります。関係がありそうな要因を4〜5個選んで、それを一貫して使いましょう — いい加減な10個のタグより、ぶれない4個のほうが価値があります。
| 要因 | タグ付けする価値がある理由 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 睡眠 | もっとも信頼できる要因。多くは1日遅れで効いてくる | おおよその時間、または 短い/普通/長い |
| 運動 | 小さいけれど着実な底上げ。見落としやすい | あり/なし、またはおおよその時間 |
| カフェイン | 睡眠を妨げ、それが翌日の気分に響く | 杯数と、おおよその時間帯 |
| アルコール | その晩は気持ちよくても、効いてくるのは翌日 | あり/なし、または杯数 |
| 人との交流 | 少なすぎるのも問題。人によっては多すぎるのも | ひとり/少し/大勢 |
| 仕事や勉強の負荷 | 「悪い1日」と「大変な1日」を区別できる | 軽い/普通/重い |
| 薬やサプリメント | 飲んだ、飲み忘れた、変更した — 医療者が知りたい情報 | 服用/飲み忘れ/変更 |
| 月経周期 | 日付入りの記録が2〜3か月分そろって初めて見えてくる | 周期の日数、または時期のタグ |
| 日光と天気 | 暗い季節に気分が沈む方に関係します — 季節による気分の変化をご覧ください | 屋外で過ごした時間、晴れ/曇り |
| 痛みや体調不良 | 気分の落ち込みのよくある原因ですが、見過ごされがちです | あり/なし、それとメモ |
| ライフイベント | 締め切り、旅行、お金、家族の知らせ — 落ち込みの背景にあるもの | 自由記述のメモ |
気分の低さと一緒に動いている要因は「手がかり」であって、証拠ではありません — その違いは気分チャートのガイドで解説しています。
詳しさより継続が大切な理由
気分の記録がつづかなくなるのは、怠けたからではなく、気合いを入れすぎたからです。5日間は長い記録を書き、1日抜けて、そこで終わり。短い記録が30個あるほうが、じっくり書いた6個より役に立ちます — パターンは時間の積み重ねの中にしか存在しないからです。
- 30秒以内で。そうでないと、忙しい日やつらい日 — つまり本当に大切な日 — を飛ばしてしまいます。
- 毎回同じつけ方で。 月の途中で「4」の意味をこっそり変えないようにしましょう。
- 記憶をたよりに後から埋めない。 空白は正直な記録です。作り話の記録はノイズにしかなりません。
- 1週間つけられなかった週は、ただの抜けた1週間であって、実験の失敗ではありません。
すでにやっている習慣に結びつけましょう — 朝の1杯目のコーヒー、寝る前に充電器につなぐとき。月に1度の5分間の見直しこそが最大の見返りであり、そして皆さんが飛ばしてしまう工程でもあります。空白の記録欄をまえに手が止まってしまうなら、気分日記のプロンプトが助けになります。
ノートかアプリか:正直な比較
紙のノートでも十分に役立ちます — インストールも通知もいらず、手書きは振り返りに向いています。ただし本当の見返りは、3か月分の評価を睡眠のタグと重ねてグラフにすることで得られるもので、それを手作業で2回もやる人はいません。アプリは、その面倒な部分を引き受けます。
- 記録は5秒ほど — 尺度をタップ、要因をタップ、以上。
- チャートとトレンドは自動計算。タグ付けした要因ごとの気分の内訳も見られます。
- リマインダー、ウィジェット、Appleヘルスケア連携で、最初の2週間を乗り越えて習慣が続きます。
- アカウント不要・メールアドレス不要のiCloud同期 — 記録はあなただけのものです。
- PDF、XLSX、CSV、JSONへの書き出し。数か月分の背景をセラピストに持っていけます。
- あなた自身の記録をもとにしたAIインサイト。基本無料・オプションのプレミアム機能あり — アドバイスではなく、もうひとつの視点です。
どんなツールも治療をするものではありません。気分日記はDBT的な自己観察を支え、専門家との会話を具体的にしてくれますが、セラピーではありません。書けなかった完璧な記録より、実際に続けられた記録のほうが役に立ちます。
よくある質問
パターンが見えてくるまで、どのくらいかかりますか?
睡眠や運動のような日々のパターンなら、たいてい2〜4週間。周期的なものや季節的なものは2〜3か月かかります。1週間分の記録では何も見えてこないのが普通です — そのまま続けてください。十分なデータがそろったら何に注目すればいいかは、気分チャートのガイドで解説しています。
自分がどう感じているのか、本当にわからないときは?
とてもよくあることで、練習すると少しずつわかるようになります。まずは体から始めましょう:疲れている、緊張している、そわそわする、重い。そのうえで感情の輪から一番近い言葉を選び、数字はそれに合わせます。「何も感じない」も立派な答えです — 納得できない数字を無理につけるより、そのまま記録しましょう。
調子のいい日も記録したほうがいいですか?
はい — ここが多くの方が飛ばしてしまう工程です。つらい日だけでできた記録は、悪い日がずっと続いているように読めてしまい、気持ちが沈むうえに事実とも違います。それに、自分に効くものが見つかるのは調子のいい日です。記録していないことは、繰り返しようがありません。
気分を記録すると、かえって気分にとらわれてしまいませんか?
記録が「なぜ気分が悪いのか」の長い分析になってしまうと、その可能性はあります。短く、事実だけにとどめて、考えるのは月に1度の見直しのときに取っておきましょう。記録することが不安からくる自己監視のように感じられてきたら、1日1回に減らすか、いったん休んでください — この習慣は、あなたのためにあるものです。
セラピストや医師と共有できますか?
はい — 記録を続ける理由として、これはとても大きなものです。数か月分の日付入りの記録があれば、「なんだか浮き沈みがあって」という話が、一緒に見られる具体的なものに変わります。きれいにまとまった要約ならPDF、生データならCSV/XLSXで書き出せます。